反レイシズム関連を中心に適宜更新します。


by ryangyongsong

小坪慎也市議の「「朝鮮人が井戸に毒」に大騒ぎするネトウヨとブサヨどもに言いたい!」の問題点(1)

前回も書きましたが、福岡県行橋市議の小坪慎也氏が未だにレイシズム煽動を続けています。

小坪市議が震災直後に公開した「「朝鮮人が井戸に毒」に大騒ぎするネトウヨとブサヨどもに言いたい!」なる記事は、極めて深刻なレイシズム煽動です。それも自警団組織化やその暴力まで容認する極めて危険なものです。これが一般市民でなく、現役の市議=公人によって行われているからこそ、その社会的なレイシズム煽動の効果は極めて大きなものとなりますまた小坪氏の記事はレイシズム以前に、災害時における人びとの生存権擁護は人びとの「自助」によるほかないというロジックで新自由主義の立場から事実上国・自治体・行政そして政治家の責任(「公助」!)を免除するという意味でも悪質です。

いまだに日本政府も自治体も、反対声明一つ出しませんが、これは異常事態です(欧米では考えられないでしょう)。このまま小坪氏の記事を放置することは、大震災の真っただ中で政治家が公然とレイシズム煽動を行っても結局許されるという悪しき先例をつくることとなるでしょう。これは16年前の石原慎太郎都知事(当時)の「三国人」ヘイトスピーチよりはるかに悪質です。

そのため小坪氏の記事の何がどう問題なのかを、時間をみて、少しずつ批判することにします。

※これについては「朝鮮人が井戸に毒を投げた」なるヘイトスピーチと、小坪議員のレイシズム煽動について、ARIC関西の京大チーム中心で、下記キャンペーンを行っています。ぜひご協力ください。

「朝鮮人が井戸に毒を投げた」というヘイトスピーチを即刻否定するとともに、ヘイトスピーチを公然と擁護し人種差別撤廃条約第四条(c)に違反する小坪慎也市議に厳正な対処をしてください!


  1. 在日コリアンへの悪質なレイシズム煽動である

 小坪氏の記事は、あからさまな在日コリアンへのレイシズム煽動である。この上なく露骨な次のよう記述がある。

① まず結論から述べるが、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが飛び交うことに対しては仕方がないという立場である。これは左派(いわゆる人権派)に対しての牽制というか、私のポジションを明示するものだ。
 そもそも政治家がレイシズムを前に批判しないということ自体がレイシズムを助長させる。小坪氏が直接言っていなかろうが即座に公人としては批判しなければならないのである。
 第二に小坪氏は批判しないだけでなく、「仕方ない」と擁護している。もしも仮にドイツで災害時に「ユダヤ人が水道に毒を投げた」なるヘイトスピーチが起きたとき政治家が無視したらどうなるか?まして「仕方ない」と言った日には政治生命が断たれるのではなかろうか。
 そして第三に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というヘイトスピーチの二重の悪質さがある
 1)「朝鮮人が井戸に毒」というヘイトは、たとえデマだろうと強力な影響をもつ。なぜなら非常時に「我々」(社会)が生き延びるために絶対に必要なインフラ(井戸)を「朝鮮人」という民族そのものが破壊したというメッセージになっているからだ。だからこのタイプのデマは必然的に「我々」(社会)が生き延びるためには「朝鮮人」という民族は絶対に殺さねばならない、というメッセージに行き着く
 2)さらに「朝鮮人が井戸に毒」は、実際に関東大震災時にジェノサイドにつながった、そいういう歴史的・象徴的なヘイトスピーチだった。ドイツやヨーロッパで鉤十字やヒトラー式敬礼が、米国で十字架を焼くことが特別な意味を持つのと同じ(ジェノサイドに結びついたのだから、それよりもはるかに深刻だといえる)である。
 だから「朝鮮人が井戸に毒」なるヘイトスピーチは、何が何でも否定しなければならないレイシズムであった(国と自治体が未だに何の声明も出さないこと自体極めて異常であるし、レイシズムを助長させる危険な効果を持つ)。
 小坪氏がこれを擁護すること自体、レイシズム煽動として極めて高い効果を持たざるを得ない。

 そもそも小坪氏は「左派(いわゆる人権派)に対しての牽制」と言っている時点で、レイシズム(差別)が左翼/右翼という政治的立場にかかわらずNGであるということを全く理解していないことを露呈させている。
 だが次の記述は、それ以前に市議という公人であるにもかかわらず、レイシズム(差別)の定義さえ理解できていないことを暴露するものである。

② 「朝鮮人が」というあたりに人権派は怒っているようだ。そして争点化しようとしているように感じる。私は、被災時において外の人を恐れるのは仕方ないし、当然のことだと受け入れている。極限状況になればそうなることが自然だと考えるためだ。疑われるのは「外の人」である。もっとも身近な外の人が朝鮮人というだけだろう。そのことに目くじらを立てても仕方ない。良いとか悪い以前に、仕方がないというスタンスである。
 「外の人」であればじつは差別するのは当然と言ってる時点で大問題である。
 それに加え、「もっとも身近な外の人」=「朝鮮人」という図式が疑いなく前提されている。これはレイシズムそのものだ。
③ 外の人が疑われる理由だが、長年その地で生きて行くわけではないためだ。極限状況下においては暴発リスクが高いと推定されるからだろう。やぶれかぶれになって何をするかわからない。これは朝鮮人が、ではなく。引っ越してきたばかりの人、相互に深くは知らない人物という意味である。不安も募る被災時には、その傾向は強まるのだろう。
 「極限状況下においては暴発リスクが高いと推定されるからだろう。やぶれかぶれになって何をするかわからない」と見知らぬ者一般を犯罪者扱いするのは当然と言っている。そしてその「外の人」とは「朝鮮人」(はじめ外国人)なのである。
 小坪氏の議論は、加藤直樹『九月、東京の路上で』(ころから)でも紹介されている典型的な「エリート・パニック」(ソルニットの概念)であろう。それは「災害現場に行政が持ち込む人災」であり「「社会的混乱に対する恐慌、貧乏人やマイノリティや移民に対する恐怖、火事場泥棒や窃盗に対する脅迫観念、すぐに致死的手段に訴える性向、噂をもとに起こすアクション」だ」(同193頁)。
 次の発言は「エリート・パニック」がレイシズム暴力の煽動に行き着いた見本だろう。
④ 前述の「異なる意見」という部分について少しだけ述べておく。治安に不安がある場合は、自警団も組むべきだろう。やるべきだと考える。それが共助を守るために必要で、公助に辿り着く手段であればなすべきことだと考える。一人でも生き残って欲しいからだ。しかし、疑心暗鬼から罪なき者を処断する・リンチしてしまうリスクも存在する。そうはなって欲しくないが、災害発生時の極限状況ゆえ、どう転ぶかはわからない
 現役の市議が災害時に「治安に不安がある場合は」「自警団」=つまり市民の武装を「組むべき」と積極的に奨励している(許容しただけで大問題だろう)。これは市民社会での私人間の暴力を煽動する極めて危険な行為である
 そして「自警団」の奨励はレイシズムの煽動になる。なぜなら「自警団」が警戒すべきは「外の人」=「朝鮮人」(はじめ外国人)なのだから。
 さらに「疑心暗鬼から罪なき者を処断する・リンチしてしまうリスクも存在する。そうはなって欲しくないが、災害発生時の極限状況ゆえ、どう転ぶかはわからない」と、無実の者であろうと殺害も含む暴力(「処断」とは殺害であろう)の犠牲になることさえ肯定している。

 だから結局、小坪氏の記事は「朝鮮人」(はじめ外国人)への露骨なレイシズム煽動である。それもレイシズムが殺害を含む暴力に結びつくことさえ肯定する極めて悪質な社会的メッセージなのである。

 これを放置するとどうなるか?
 レイシズムが暴力に発展し、最悪の事態が起きることを止められなくなる。それだけでなくレイシズムが社会を破壊するまでに増大する、その社会的回路が政治家によってつくられることを防げないことになる。

 極右政治家やレイシストにとって、個々のレイシズム事件は、それじたいが一つの観測気球となる。どれほどまでなら社会で許容され/批判を浴びるのかを常に伺いつつ、彼らはレイシズム煽動を行う。小坪氏の記事は災害の真っ最中に政治家が公然とレイシズム煽動するという意味で一線を越えた、重要な観測気球という位置づけをもつだろう。

 さて、これだけでも大問題であることはお分かりいただけるのではないかと思う(レイシズム以前に小坪氏の記事は、災害時に自警団を組織せよと言っているのだから、これだけで大問題になってもおかしくないのだが)。

 が、小坪氏の記事の問題はこれに留まらない。
 他の問題点は時間を見つけて書くことにする。

※これについては「朝鮮人が井戸に毒を投げた」なるヘイトスピーチと、小坪議員のレイシズム煽動について、ARIC関西の京大チーム中心で、下記キャンペーンを行っています。ぜひご協力ください。
(以上)


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by ryangyongsong | 2016-04-22 22:30